記憶の書– tag –
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記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_11
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 その日は、Sが先に来ていた。 珍しく、何も話さなかった。グラスの氷が溶けるまで、店の音楽だけがあった。 2 ニュースがあった。電力会社に入って一年目の、十九歳の人が亡くなった。 持ち物... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_7
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 そういうことね。 Sが考えていることは、ずっと単純だ。 公益のためであること。同じ目に遭う人をこれ以上増やさないこと。 2 前任の彼女は、まず総務部人事課の課長補佐のところへ行ったらし... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_6
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 ある日、Sは経理課の同僚に声をかけられたそうだ。 ある年度の伝票について聞きたいという。発注の金額と、その理由。 ああ、それなら窓際のキャビネットの二段目だね。Sはそう答えて、席を立... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_5
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 配属されてすぐのSは、何も知らなかった。 前任の中途で入った女性が休職していること。引き継ぎが書類だけであること。わかっていたのはその二つで、理由は聞かされていなかった。 印刷会社... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_4
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 朝、総合管理棟の二階で、ロッカーが一緒になる人がいた。その時間の会話が楽しみだった。 管財課の人で、ヒミズと呼ばれていた。誰が言い出したのかは知らない。 2 その日は新聞に契約容量の... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_3
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 内部通報の図を描いてみるとわかりやすい。 四角い箱と矢印が並ぶ。通報者は左端の、いちばん小さい枠に置かれる。電話。書面。ファクス。面会。どの手段を選んでも、矢印はひとつの場所に集... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_2
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 Sは、以前は代理店にいた。大きいが、二強ではないところ。 社学部を出て、新卒で入ったのだという。言葉と身体のどちらが先だったのか。たぶん身体だ。言葉が正確なのは、そのせいだと思う。... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_1
これは記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 しばらくぶりに文筆家のSと会った。商店街の一番奥。ローゼ。午後の早い時間。 二人とも同じ時期にあそこを離れた。離れさせられた、が正確だ。だから話は早かった。 当時の話というのは、つ...
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