1. 接地の種別(A・B・C・D種)と太陽光設備の対応
高圧太陽光発電所の接地系統図について考え方を整理しました。本記事はその内容を、盤メーカーに勤める友人や電気工事の知り合いにも確認しながらまとめたものです。
盤メーカーさんからもらう図面に書いてある接地線の太さの根拠がわからなかったり、あるいは自分で書かなければいけないときのための備忘録とした意味もあります。
1-1. 接地種別の基本
接地工事は電技解釈第17条でA・B・C・D種の4つに分類されています。
| 種別 | 対象 | 接地抵抗値 |
|---|---|---|
| A種 | 高圧・特別高圧の機器の金属製外箱、避雷器など | 10Ω以下 |
| B種 | 変圧器の低圧側中性点(高低圧混触時の保護) | 計算による |
| C種 | 300Vを超える低圧機器の金属製外箱など | 10Ω以下 |
| D種 | 300V以下の低圧機器の金属製外箱など | 100Ω以下 |
出典:電気設備の技術基準の解釈(経済産業省) 第17条・第29条をもとに作成
A・C・D種は感電防止のために非充電部(外箱など)に施す接地、B種だけは高圧と低圧が混触したときに低圧側を守るために充電部(変圧器の中性点)に施す接地で、性格が異なります。
1-2. 太陽光設備の種別マッピング
| 設備 | 種別 | 記号 |
|---|---|---|
| PAS(避雷器) | A種 | ELA |
| キュービクル(VCB・高圧機器) | A種 | EA |
| 変圧器の低圧側中性点 | B種 | EB |
| PCS | C種(またはA種) | EC / EA(PCS用) |
| 監視盤など300V以下の機器 | D種 | ED |
| パネル架台 | C種またはD種(またはA種) | — |
「高圧の太陽光発電所」といっても、すべてがA種になるわけではありません。高圧なのはキュービクルから系統側で、構内の機器は使用電圧で種別が決まります。
PCSと架台に「またはA種」と付くのは、直流は750Vを超えると高圧の区分になるためです(電技省令第2条)。DC1000V/1500Vシステムなら高圧機器としてA種、750V以下ならC種・D種。自分の案件がどちらかは開放電圧(Voc)×直列数で判定でき、直列数を決めた時点で接地種別も決まります。
2. 接地線の太さの決め方
2-1. 基準は公共建築工事標準仕様書(特記があれば特記優先)
接地線の太さは、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)の「2.13.9 接地線」を基準に選定します。A種は規定値、B種は表2.13.1、C種・D種は表2.13.2で決まる構成です。
ただし、案件の特記仕様書に太さの指定がある場合はそちらが優先です。遮断器容量ベースで指定されているケースもあるため、必ず特記を確認します。
2-2. A種:計算式はない(母線14sq・その他5.5sq)
A種には遮断器容量からの計算式がなく、仕様書の規定値で決まります。
| 部位 | 太さ |
|---|---|
| 接地母線・避雷器 | 14sq以上 |
| その他 | 5.5sq以上 |
計算式がないのは、6.6kVの高圧配電系統が非接地系のためです。高圧側で地絡しても対地静電容量経由の数A〜数十A程度しか流れず、地絡継電器が検出して遮断します。接地線を焼くほどの電流がそもそも流れないため、遮断器容量と連動させる必要がなく、固定値で足ります。
なお、太陽光のDC側(750V超)がA種になる場合はこの限りではなく、DC側のブレーカー定格を基準に選定するか、機器のユーザーマニュアルに推奨値があればそれに従います。
2-3. 避雷器の接地(14sq・単独は義務ではない)
実務では単独接地が多いですが、現行規定に単独の義務はありません。電技解釈第37条が求めているのは「A種を施すこと」のみで、解釈の解説にも、接地網を共通極として連接した方が保護効果が上がる場合もあるため単独とはしていない旨が明記されています。
単独が多いのは、旧「高圧受電設備指針」に「原則単独」と規定されていた名残です。
出典:電気設備の技術基準の解釈(経済産業省) 第37条
2-4. B種:表2.13.1(一番大きい変圧器で決める)
B種は変圧器1相分の容量から、仕様書の表2.13.1で選定します。
| 100V級 | 200V級 | 400V級 | 接地線の太さ |
|---|---|---|---|
| 5kVA以下 | 10kVA以下 | 20kVA以下 | 5.5sq以上 |
| 10kVA以下 | 20kVA以下 | 40kVA以下 | 8sq以上 |
| 20kVA以下 | 40kVA以下 | 75kVA以下 | 14sq以上 |
| 40kVA以下 | 75kVA以下 | 150kVA以下 | 22sq以上 |
| 60kVA以下 | 125kVA以下 | 250kVA以下 | 38sq以上 |
| 100kVA以下 | 200kVA以下 | 400kVA以下 | 60sq以上 |
| 175kVA以下 | 350kVA以下 | 700kVA以下 | 100sq以上 |
| 250kVA以下 | 500kVA以下 | 1000kVA以下 | 150sq以上 |
※「変圧器1相分の容量」は、三相変圧器なら定格容量の1/3。単相3線式は200V級を適用
変圧器が複数台ある場合は、一番大きい変圧器に合わせます。
出典:公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 表2.13.1
2-5. C種・D種:表2.13.2(遮断器の定格電流から選定)
2-5. C種・D種:表2.13.2(遮断器の定格電流から選定)
C種・D種は、その機器を保護する配線用遮断器の定格電流から、仕様書の表2.13.2で選定します。
| 配線用遮断器等の定格電流 | 接地線の太さ |
|---|---|
| 30A以下 | 1.6mm以上 |
| 60A以下 | 2.0mm以上 |
| 100A以下 | 5.5sq以上 |
| 150A以下 | 8sq以上 |
| 250A以下 | 14sq以上 |
| 400A以下 | 22sq以上 |
| 600A以下 | 38sq以上 |
| 1000A以下 | 60sq以上 |
例えばPCSのブレーカーが100ATなら5.5sq以上です。
なおPCSについては、計算とは別にメーカーのユーザーマニュアルに接地線の推奨値が記載されていることがあり、その場合はそちらを優先します。
出典:公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 表2.13.2
2-6. 共用時は一番大きい遮断器だけで見る(同時地絡は想定しない)
複数の機器の接地を1本の接地線にまとめる場合、全機器の遮断器定格を合算する必要はありません。共用する機器のうち一番大きい遮断器で表2.13.2から選定します。
複数の機器が同時に地絡することは想定しない、という考え方です。例えばPCS(100AT)が8台あっても、800Aではなく100Aで選定して5.5sq以上となります。
B種で複数台の変圧器のうち一番大きいものに合わせるのと同じ理屈です。
なおAC・DCの回路が混在するPCSでは、DC側ブレーカーの容量で見ることが多い気がします。
3. 接地母線と分岐線
3-1. 母線と分岐線の関係
接地母線は接地極から立ち上がる幹線、分岐線は母線から各機器へ渡す枝線です。各機器から接地極まで1本ずつ戻すのではなく、母線から機器の近くで分岐して接続します。
3-2. 太さの決め方(母線・分岐それぞれ)
母線は、共用する機器のうち一番大きい遮断器の定格電流で選定します(A種の場合は規定の14sq以上)。
分岐線は、その先につながる機器の遮断器で個別に選定します(最小5.5sq)。
分岐線が母線より細くなるのは、分岐線にはその機器の事故電流しか流れないためです。
4. 母線と分岐線の物理的な接続方法
4-1. C型コネクタ・圧縮スリーブ
母線を切断せずに被覆だけ剥き、分岐線を沿わせて専用工具で圧縮する接続方法です。接続部はテープ処理をします。
こういう感じのものです。

4-2. 盤内は端子台
キュービクルや接地端子盤の内部では端子台で分岐します。渡り金具で隣の端子と連接できる製品もあります。
4-3. 分岐箇所(ハンドホール・パネル下)
屋外での分岐は、ハンドホール内やパネルの下など点検できる場所に設けます。図面上は母線から直接分岐しているように見えても、実際はこうした箇所で接続されています。
5. 共用接地と連接接地
5-1. 単独・共用・連接の用語整理(根拠:電技解釈第18条)
- 単独接地:種別ごとに専用の接地極を設ける
- 共用接地:1つの接地極(接地網・建物鉄骨など)を複数の種別で共同使用する
- 連接接地:それぞれの接地極・接地線を相互に接続して等電位化する
電技解釈第18条では、大地との電気抵抗値が2Ω以下の建物鉄骨などを接地極として使用できることが規定されており、共用接地の根拠になっています。
出典:電気設備の技術基準の解釈(経済産業省) 第18条
5-2. 共用できるもの(A・C・D連接、2Ω以下)
接地抵抗が2Ω以下であれば、A種・C種・D種の連接が可能です。EAとEDが同じ極になる構成もよくあります。
避雷器は単独とすることが多いですが、義務ではありません(2-3参照)。
なお、ダウントランスのECのように、金属の箱体がキュービクルに直接固定されている機器は、接地線を分けても箱体経由で導通するため、実質的に連接と同じ状態になります。
5-3. 実務での構成例(接地端子盤・盤メーカーの慣例)
キュービクルでは、盤メーカーが盤内で必要なアースをすべて単独で接地端子まで配線してくるのが一般的です。設計側の接地系統図は、この端子構成と整合させる必要があります。
接地端子盤側で連接する方法と、キュービクルの接地極側で渡りをかけて連接する方法があり、端子台の配置や施工性で選択します。
6. その他
6-1. ETP・ETCとは(試験端子)
接地抵抗を測定するための試験端子です。
測定器はE・P・Cの3端子で、Eを接地極に、P・Cは補助の接地棒を大地に打ち込んで測定します。しかし周囲がコンクリートだと補助接地棒が打てません。そのためあらかじめP・C用の端子を設けておくのが試験端子です。
EP・ECと表記するとC種接地のECと紛らわしいため、試験(Test)のTを入れてETP・ETCと表記します。キュービクルに試験端子がない場合は、接地端子盤が別に設けられていることが多いです。
6-2. キュービクル単結の接地母線38sqの根拠(規定は14sqだが電流容量の考慮)
まとめA種の接地母線は規定上14sqで足ります。ただ実際の図面では38sqなどが採用されていることがあり、レビューで「根拠は?」と聞かれることがあります。
これは、キュービクルのVCB遮断容量(例:600A→表2.13.2で38sq)など、電流容量を考慮して選定しているケースです。規定の最小値と、電流容量ベースの選定値のどちらで描かれた図面なのかを説明できるようにしておくと、指摘に答えられます。
おわりに
原則と例外が多い部分にも感じますので、気づいたら後から追記修正していきます。
担当の話と資格取得の話も下に貼っておきます。



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