2×1×0×_成城にてうちあわせ_4

記憶の書
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これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。

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朝、居室のある総合管理棟の二階で、ロッカーが一緒になる人がいた。その時間の会話が楽しみだった。

管財課の人で、ヒミズと呼ばれていた。誰が言い出したのかは知らない。

2

その日は新聞に契約容量の話が出ていた。これだけの建物があったら特高受電になるのか、とSが独り言のように言った。

高圧三系統で引き込んでいる、とヒミズさんが言った。公道も挟んでるからね。地絡の継電器もつけてはいる。新校舎との取り合いのところが結構大変でね。

ロッカーの扉を閉めながら、順番に、静かに話す人だった。

3

ここは早く出て行った方がいい。

同じ朝に、そうも言われた。建築と電気と設備、どれが欠けても建物は成り立たないだろう。建物も自由も、潔癖でないと駄目なんだよ。

ヒミズさんは、Sさんが辞めた直後に定年を迎えているはずだ。

4

窓の外では旧校舎が壊されていた。ユンボの音に混じって、長い髪の管財課の人間の笑い声が響いていた。

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この記事を書いた人

白晝堂々(はくちゅうどうどう)

作編曲家/電気主任技術者

YNU→半導体メーカー→再エネ事業→限界フリーランス

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