これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。
1
そういうことね。
例の人について、少しだけ考えた。知っていることはほとんどない。ここから先は、確認できない話だ。ただ、ああいう人がどこから来るのかは、想像がつく。
2
たぶん、若い頃は何者でもなかったのだと思う。上と下がはっきりした場所に来て、ようやく自分の置き場所を見つけた。人を動かすのが好きで、それ自体は、悪い性質ではない。
3
昔の姿を想像してみる。今とは、ずいぶん雰囲気が違うはずだ。列の端のほうで、少し照れたように笑っている。その、なんていうか。どちらかというと。
いや、やめておこう。
4
人は変わる、と書きかけて、やめた。たぶん違う。
変わったのではなく、もともと内側にあったものが、出口を見つけただけなのかもしれない。
外から見ると、それは指導と呼ばれている。
中から見ると、たぶん、救いなのだと思う。
