これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。
1
年表の係に、もう一つ頼まれた。箱の見つからなかった年に、新聞が何を書いていたかを見てきてほしい、ということだった。
図書館には、古い新聞を画面で読める席がある。
2
カウンターにはナギスケがいて、隣にトモヨが座っていた。髪は、小学生の女の子がするような結び方をしている。どこを見て話せばいいのか、少し迷った。
あら、とトモヨは言った。声はがさがさしている。
最近見ないね、と言うと、トモヨは自分のお腹を豪快にたたいた。いい音がした。
ナギスケが、しー、と言った。
3
ナギスケは黒い眼鏡を少し押し上げて、職員証を受け取った。裏には、三月までと小さく印字されている。
画面に僕の番号を打って、しばらく待った。出ないですね、と言った。
4
ナギスケは引き出しから、ラミネートされた紙を出した。IDが一つ印刷してある。
これ、カウンターのやつなんで。
席が開いた。その年の新聞は、画面には入っていない。
5
ナギスケについて、階段を降りた。月ごとに綴じた厚い本が、棚に並んでいる。紙は薄く、めくると乾いた音がする。
頼まれた月を、終わりまでめくった。
上のほうから、トモヨの笑う声が聞こえた。

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