2×1×0×_成城にてうちあわせ_9

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これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。

1

そういうことね。

例の人については、影響力がなくなってからのほうがいい。Sはそう考えている。

金を取りたいわけではない。それはずっと一貫している。

2

Nに聞いてみた。待つという判断について、どう思うかを。

一般論として、とNは前置きした。待つほうが通りやすくなるのは事実だと。周りの忖度が動くものなら、その元が消えたあとのほうが、調べも証言も取れる。

条件は二つだと言った。

退任までのあいだに、記録が消えないこと。退任で、実際に影響力が切れること。

後任が本人の系列なら、椅子が空いただけで何も変わらない。退任後も別の肩書きで残るなら、なおさらだ。

3

ただ、請求できる期間には限りがある。そちらは別に数えておくこと。

どちらも満たすなら、待つのは合理的だとNは言った。

それと、いまのうちにできることがある。一通、出しておくこと。あったかどうかだけを聞く。何も求めないし、何も諦めない。

返事が来なくても、来なかったことが残る。

日付の書き方は、最後まで変えないこと。

それだけ言って、氷の溶けかけたグラスを回していた。

4

もうひとつ、理由がある。こちらのほうが大きい。

中には、世話になった人がまだたくさんいる。

5

だから条件はもう一つある。

その人たちに、絶対に何も及ばないこと。

一人でも仕事を失うなら、意味がない。

順番は、そこから逆算して決めている。

6

待つというのは、何もしないことではない。

記録が消えないように置いておくこと。消えたときに、消えたとわかるようにしておくこと。そのあいだ、日付を重ね続けること。

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この記事を書いた人

作編曲家/電気主任技術者

YNU ☉⁠➛ 太陽光 †⁠➛ 学校 ⏚⁠➛ 半導体 ∴⁠➛ 独立

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