これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。
1
月が変わった。
出勤簿は、画面の表に時刻を打って、紙に出す。残業は一分から付く。紙には、印の欄が三つ並んでいる。
2
自分の印を押してから、気になって、人事にいる同期に内線で聞いた。
左から自分、課長、人事課。ふつう逆だよね、と同期は言った。手引き、あったよ、とも言った。
受話器を置いて、紙を見た。僕の印は、いちばん右の欄に押してある。
3
もう一枚出して左の欄に押すと、管財の課長は二枚目を見て、何も言わずに、となりに印を押した。
一枚目は、裏返して引き出しに入れてある。
4
人事課へ持っていくと、同期が受け取った。二つの印を左から指でなぞって、傾けなくていいの、と言った。
どっちに、と聞いた。
5
窓の外で、落ち葉を掃く音がしている。髪の長い男が、作業着の人たちに一人ずつ、指で場所を示していた。同じ課の人だ。
同期は紙を机に置いて、ちなみに、と言った。
残業、どのくらい付けた。

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