記憶の書– category –
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記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_11
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 その日は、Sが先に来ていた。 珍しく、何も話さなかった。グラスの氷が溶けるまで、店の音楽だけがあった。 2 ニュースがあった。電力会社に入って一年目の、十九歳の人が亡くなった。 持ち物... -
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2×0×1×_私たちが好きだったこと_251
I 四つ数える。白線を踏む。そう。踵から落ちろ。お前は十七歳だ。脈は一分間に八十四。 II 裏返ったぬいぐるみのスタッズ。アドアーズでナツと写真を撮った。ナツと踊っていると、どこにもいなくなる。汗が散る、床が軋む。ナツはかわいくて、ときどき食... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_10
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 ローゼは、商店街の一番奥、二階にある。 音楽の仕事を辞めたあとに作った店らしい。五席しかない。キエさんが一人でやっていて、常連が二人入ればもう埋まる。埋まっても狭く感じないのは、... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_9
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 そういうことね。 例の人については、影響力がなくなってからのほうがいい。Sはそう考えている。 金を取りたいわけではない。それはずっと一貫している。 2 Nに聞いてみた。待つという判断に... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_8
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 そういうことね。 例の人について、少しだけ考えた。知っていることはほとんどない。ここから先は、確認できない話だ。ただ、ああいう人がどこから来るのかは、想像がつく。 2 たぶん、若い頃... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_7
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 そういうことね。 Sが考えていることは、ずっと単純だ。 公益のためであること。同じ目に遭う人をこれ以上増やさないこと。その二つだけだ。 2 前任の彼女は、まず総務部人事課の課長補佐のと... -
記憶の書
2×1×0×_成城にてうちあわせ_6
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 ある日、Sは経理課の同僚に声をかけられたそうだ。 ある年度の伝票について聞きたいという。発注の金額と、その理由。 ああ、それなら窓際のキャビネットの二段目だね。Sはそう答えて、席を立... -
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2×1×0×_成城にてうちあわせ_5
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 配属されてすぐのSは、何も知らなかった。 前任の中途で入った女性が休職していること。引き継ぎが書類だけであること。わかっていたのはその二つで、理由は聞かされていなかった。 印刷会社... -
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2×1×0×_成城にてうちあわせ_4
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 朝、総合管理棟の二階で、ロッカーが一緒になる人がいた。その時間の会話が楽しみだった。 管財課の人で、ヒミズと呼ばれていた。誰が言い出したのかは知らない。 2 その日は新聞に契約容量の... -
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2×1×0×_成城にてうちあわせ_3
これも記憶で書く。だから細部は、記憶のかたちをしている。 1 内部通報の図を描いてみるとわかりやすい。 四角い箱と矢印が並ぶ。通報者は左端の、いちばん小さい枠に置かれる。電話。書面。ファクス。面会。どの手段を選んでも、矢印はひとつの場所に集...