I
四つ数える。白線を踏む。そう。踵から落ちろ。お前は十七歳だ。脈は一分間に八十四。
II
裏返ったぬいぐるみのスタッズ。アドアーズでナツと写真を撮った。ナツと踊っていると、どこにもいなくなる。汗が散る、床が軋む。ナツはかわいくて、ときどき食べてしまいたくなる。煙草を咥えて、地に立方骨を立てて、頸を伸ばす。誓え。ナツ、もっと逆パースをする時みたいに指を落とすんだ。そう。部屋が一度も使われていないように見える。
III
○国道1号。窓のない部屋。煙。藤澤。まだ。UNDERCOVER。2342。誰かがモールを踏んだ。溶けたキャンディ。名前を失ったマトリョーシカ。八本足の蝶が自転車を漕いでいる。剥がれかけたチラシ。地絡継電器。番号だけが残っている。道路が途中で終わっている。
IV
階段を上がってくるのはお前が見たがっているものだ。見上げなくていい。傘一本。制服の髪がうねる。触れたい。テーマに戻れ。雫が傘の先で止まっている。モンパルナスのキキ。白粉の匂いがする。目の位置が動かない。目が合うまで二秒。嗤え。膝が言うことを聞かない。青が、緑に変わる。こちらを見ているが何も言わない。残されたほうが数を数える。
V
お前は何も持っていない。エレクトリック・マイルスの踵を踏んでいる。排水口から泥の香りが上がってくる。まだ。口が先に動いている。
VI
改札を抜けろ。ガットを投げろ。白線の内側までお下がりください。発車ベルが鳴っている。ナツと指を絡めている。朝、カモメが見えるタイ村に行こう。写真に二人写っていない。
VII
四つ数える。白線を踏む。まだ。踵から落ちろ。もう一度。ガタン。
